「お通夜の付添いは、朝まで必ずしなくてはいけないのでしょうか」と質問を受けることがあります。一晩中故人に寄り添い、線香を絶やさない「寝ずの番」は、お通夜の風習として真っ先に頭に浮かぶものかもしれません。
我々、業者の立場からすると、お通夜の付添いは「必ず」だとは考えていません(理由は後述いたします)。しかしながら例えば宗教者様のお考え、喪主様以外のご親族のお考えなどもありますので、色々な意見を踏まえた上で喪主様の意向で決められたら良いと思っています。

いろいろな通夜がある
「通夜」とは親族・縁者などで夜通し故人を見守り・偲ぶ事を指します。よく耳にする「通夜式」の「式」は宗教者の先導にておこなうので、「通夜式18時~」の場合、18時から3,40分おこなわれる儀式が「通夜式」、宗教者が下がった後からはずっと「(本)通夜」ということになります。
近年では1~3時間を目安に通夜をおこなう「半通夜」というのが主流となってきています。また、通夜の前日に家族だけで見守る・偲ぶ通夜を「仮通夜」といいます。

親族が少ないと通夜の番が大変
昔はご自宅で親族縁者が大勢集まり、故人を偲んでいることが当たり前でした。大勢いれば誰かしらが代わる代わる、故人や火の番をしてくれていました。
しかし近年は普段から馴染みのない葬儀をさらに馴染みのない葬儀会館でおこなうことが多くなりました。それだけでもご遺族の心労はかさむと思います。そして親族も少なくなっているので、1人に対する「(お線香の番も含めた)通夜の番」の負担は増えてしまいます。
負担という言い方は適切ではないかもしれませんが、実際にお一人で遅くまで付き添われて、翌日の葬儀の後、一気に体調を崩された方もいらっしゃいます。また、線香から火災となり、付き添われていた方が亡くなるケースも報道でありました。
「付添を必ずしないといけないですか?」と心配になるもの当然のことだと思います。

ご遺族に無理のない通夜の過ごし方
付き添いは故人様の為になります。しかし、ご遺族が無理をして体調を崩されることは故人様も望んではいないのではないでしょうか。家族葬が増えてきている時代の流れを考えると、遺族が交代で通夜を付き添うのも難しくなってきています。体力的、精神的に付き添いたくても付き添えない事情もありますので「必ず付き添ってください」とはお答えしておりません。
お一人で付き添われる場合では、「線香を必ず絶やしていけない」と思いすぎないようにお声がけするようにしています。比較的安全な電気ローソクをご燈明代わりにずっと点けさせてもらいうようにとご提案しています。翌日の葬儀を滞りなく終えられるように、通夜後は帰宅して体調を整えるのも大事なことですので。
簡素化されるお通夜に抵抗がある方もおられるでしょうが、決して故人とのお別れを疎かするわけではありません。ご無理のない範囲で故人様にしてあげられる事をしてあげてくださいね。